今までずっと、歯を食いしばってがんばってきた。
辛いことも、嫌なことも
弱音はぜんぶ飲み込んで、
ただひたすら
こぶしを握り、足を踏ん張り、
ギリギリと歯を食いしばって耐えてきた。
んなこたぁない。
一体なんの話って、私のお口の中のお話。(タモさん元気かな)。
長男を妊娠してからずっと放置していた私の歯。さぞや虫歯がたくさんあることでしょう…とビクビクしつつも見て見ぬフリしてほったらかしていたら、先日ついに奥歯に鈍痛が。
「つ、ついにきた…!」
痛みに弱い私は半べそで息子がお世話になっている歯医者に駆け込んだ。
そこで先生に言われたのは、
「あー、これすっごい食いしばってますねぇ。」
…え?虫歯じゃないの?
「虫歯はないですね。でも食いしばりが尋常じゃないです。ほっぺたの裏側に食いしばり線できてますよ。」
「食いしばり線」てなに!お腹の下の方に妊娠線できてますよみたいに言わないで!むしろ私はずっと大口を開けているせいで今この瞬間も深く刻み込まれているであろうほうれい線の方が気になってるんだけども!!
なんとか心を落ち着かせて先生の話を聞いたところによると、
・人は無意識の内に歯を食いしばっていることが多い(寝ている間やパソコン作業など)
・歯をくいしばるとほっぺたの裏側に食いしばり線ができたりする(だから食いしばり線て)
・もっとひどいと歯が欠けたり詰め物が削れたりする(私は被せてた詰め物にでっかい穴が空いてた)
・さらにひどいと歯ぐきが下がって本来見えないはずの歯の下の方の部分が見えてきたりする(私のもがっつり見えてた)
・さらにさらにひどいと神経に栄養が行かなくなってうんぬんかんぬん(忘れた)
まぁつまり、歯を食いしばり過ぎたことによって私の奥歯にかぶせられていた詰め物は壊滅状態だったわけで、まずはそれをなんとかしましょうと。
それによって噛み合わせが改善されたら、お顔を出していた本来見えないはずの歯の下の方の部分もちゃんと歯ぐきの下に帰ってくれるでしょうと。
そしたら歯の痛みも起きなくなるでしょうと。
たしかそのようなことをおっしゃっていた気がする。たぶん。より一層深くなったであろうほうれい線が気が気じゃなくてあんまり先生の話が入ってこなかったけども。
で、おそらくそのような説明を聞いて私は
「私ってばこんなになるまで歯を食いしばってたのね…辛い状況を、頑張って乗り越えてきたんだもんね…えらいよびび子…穴の空いた詰め物は私の人生の金メダルだよ…!」
なんつって瞬間的に悦に入っていたんだけども。ぜんぜん、そういうわけではないらしい。
人は無意識の内に、とてもナチュラルに歯を食いしばるのだそうだ(悦に入るまでもなく先生ちゃんと最初に説明してた)。
でもそれにしても無意識・無自覚極まりないので、日常生活で歯の食いしばりを少し意識してみたら。
私、めっちゃ食いしばってる。
例えばスマホを見てる時、車を運転してる時、野菜を切ってる時、朝起きて寒いなーとベッドを出る時、ぐいぐい食いしばってる。
こういうのはまだ分かるけど、ふと鏡を見る時や子どものオムツを替える時、ボーッとテレビを見ている時でさえ、私の上顎と下顎はぐいぐいやり合っているのだ。
決して私が(冒頭のような)激情型の生活を常に送ってきたというわけではない。
そりゃ元夫に対してギリギリと歯を噛む思いをしたことは数え切れないほどあるけれど、私が元夫にイラついてる時もそうでない時も、子どもとにこやかに遊んでいる時もチューハイ飲みながら録り溜めたドラマを観ながらニヤついている時も、いつだって私の奥歯は危機的状況だったわけだ。
それじゃあ、歯を食いしばらないように気をつけてみましょう!ってなると、これがまた本当に難しい。
子どもには「口開いてるよ!」なんて注意しておきながら、「おまえこそ口開けよ!」って話だった。
以前仕事絡みで聞いた話で、「1日に10分間、何もしない時間を作るとよい」というのがあった。
意識して、ボーッとする時間を作る。心を無にする。「リラックスする」という状態を作る。
“意識してリラックスする”ってなんかもうパラドックスだけど、そうしないと人は本当の意味でボーッとすることはできないのだそうだ。
とにかく、私は意識的に、口を開いていこうと決めた。
新しく歯に被せるセラミックだかハイブリッドだかの詰め物が4万円もしてリラックスどころじゃないけども。
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