息子は、もう1年以上前に私が「ダーウィンが来た!」の録画を勝手に消してしまったことを未だに怒っていて、たまに思い出したようにクレームをつけてくる。
捨ててしまったダンボールのことも、自分の習い事の間に妹にだけアイスを買い与えたことも、すべて覚えている。
要はかなり粘り強く、しぶとく、しつこく、根にもつタイプ。
母親としては「ほんとにうちの子は記憶力がいいわねぇ」と前向きに捉えたいところだけど、真っ先に思うのは「お前モテねぇぞ」というイラ立ちだけ。
何を隠そう、息子の執念深さは私譲りだから。そう、私も筋金入りの根にもつタイプなのである。
前置きが長くなったけれど、この元夫語録はそういった私の性格が原動力となって書かれている。
普段ブログ書こうと思うと考えをまとめるのにものすごく時間がかかるのだけど、元夫語録に関してはどんどん筆が進む。滑るように軽やかに進む。
「そういえばこんなこと言われたよな…」
「よくよく考えたらムカつくな…いやよく考えなくてもめちゃくちゃムカつくな…」
「ムカつく、今さらだけど言い返してやりたい…!」
そんな3年越しのねちっこい思いの丈をブログにぶつける38歳バツイチ。お前こそモテねぇぞ、である。
さて、そんな私の本日の根にもっている元夫語録は、私が産後2週間で脳梗塞で入院し、3週間後にようやく退院して帰ってきた後の話。
入院中は産まれたばかりの下の娘は夫の実家に託し、私の母が泊まり込みで上の息子(と夫)の世話をしてくれていた。
みんなが協力してくれるかなりありがたい状況とは言え、母が来られない日もあったし、当然、夫自身も掃除洗濯や料理等の家事をすることになった。
それまでも夫がたまに料理を作ってくれることはあったし、私が子どもを置いて出かける日もあったけれど、ここまで継続的に家事と育児の両方をこなしたことはなかったと思う。
なので退院後しばらく経ってから、留守を守ってくれたお礼と共に「どうだった?」と夫に聞いてみた。
この場合の「どうだった?」は「何か困ったことはあった?」という建て前に加えて、
「子どもの面倒を見ながら献立を考え必要なら買い物に行き料理を作り食べさせるのは大変だったでしょう、それに加えて隙間時間で掃除や洗濯その他もろもろの家事を誰の手も借りずこなしているのですよ普段の私は、えらいでしょうすごいでしょうありがたいでしょう!!!!!」
という本音が含まれている。
主婦はいつだって労いの言葉を求めているのだ。
そしてその時夫が返してきた言葉は、
「いや~めちゃくちゃ大変だね!日頃の君の苦労が分かったよ。いつもありがとう!」
だなんて100点満点の模範解答なわけはもちろんなく。なんと
「無駄だなぁと思った」
だった。
…え?
えーと、無駄、とは…?
「大変だなぁとは思うよ。でも俺の場合、大変なこと=無駄だと思っちゃう。そんなことに労力を使うぐらいなら、ロボット掃除機を買うなり、外注するなり、お金で解決した方が効率がいいと思った。」
今なら「元夫の言いそうなことだ」と合点がいく。元夫は合理的で無駄を嫌う。その分の労力を他(仕事)に費やした方がいいんじゃない、という意味だ。
その根底には私に(昔の私のように)外に出て、仕事をして、自分の世界を持ってほしいという願望がある。
その気持ちは分からなくもない気がするけれど、私が思うのは「それ言う必要ある?」あるいは「ちょっと言い方考えろよ」!。
そして、その時の私はやっぱり悲しかったし、ものすごく、傷ついた。
自分が精一杯やってきたことを「無駄」と否定され、「そんなこと」をやるぐらいなら他にエネルギーを使った方がいいと、バッサリ切り捨てられた感覚。
私がやってきたことってなんだったんだろう。ただ労って、認めてほしかっただけなのに。「大変だね、いつもありがとう」が言ってほしかっただけなのに。まさかの全否定。予想外のカウンターパンチに、私の心はボコボコにされた。
後日談として…夫はびっくりするほど値段の高いロボット掃除機を突然買って帰ってきた。けれど、私は素直にありがとうとは言えなかった。
彼なりの合理的な優しさ(なんだそれ)かもしれないけど、今こそ言いたい。
「お前モテねぇぞ!!!」
そして更なる後日談として…「素直にありがとうは言えない」なんて言いながらちゃっかりロボット掃除機は財産分与のどさくさに紛れて私がもらった。
でもロボット掃除機のために椅子や床に落ちてるおもちゃを片付けるのが面倒で、なんだかんだ自分でササッとクイックルワイパーをかけてしまうことの方が多い。
「やっぱり人間がやった方が早いし綺麗になるわ~」
と、3年前の自分を慰めるかのようにロボット掃除機を横目にブツブツ言う私。ロボット掃除機に罪はない。
ちなみに2歳半になる娘がロボット掃除機を異様に怖がっており、娘のワガママが爆発してどうにもならない時の禁じ手「ロボット来るよ」の脅し文句には、大いに役立ってくれている。
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