夫と離婚の話し合いが進む中、母に強く言われたのは兎にも角にも「一刻も早く夫と“物理的に”離れること」でした。
精神的に夫に支配され、一連の出来事で弱りきっていた私は何も判断できない、何も気力が起こらない状態でした。
子供たちのためにも一刻も早くその状態から脱すること。そのためには実際に離れること、つまり物理的に距離を置くことがとても重要なんだそうです。
「話し合いだ何だでなかなか離婚は成立しないかもしれない、でも別居ならすぐにできるでしょう。とにかくその家を出なさい、うちに来なさい。」そう母は言ってくれました。
お金もない、稼ぎもない、気力も体力もない。そんな私がすぐに自立なんてできるはずもないのに、 それでも当時の私は「できる限り母に迷惑をかけたくない」と思っていました。
母が住んでいるのはこじんまりとした2LDKのマンション。終の棲家として手に入れた、母にとっては言わば自分の城です(母も離婚経験者なので長らく一人暮らしでした)。
母の家のそばに、小さくてもいいからアパートを借りられないか…なるべく母に負担をかけずに、自立できないものか…そんなことを言っている場合じゃないのに、いつまでもウジウジ考えている私に、当時個人的に相談に乗ってもらっていた同年代の女性弁護士さん(知人)が言ってくれた言葉があります。
「あのね、びびちゃん。びびちゃんには“資源”があるんだよ。」
「シゲン…?」
「そう、資源。私たち(弁護士)はよくこの言い方をするんだけどね。びびちゃんには、働いてるお母さんがいるでしょう?しかもお母さんには家がある。」
「それからびびちゃんには相談にのってくれる姉妹がいる。心配してくれる友達もいる。」
「あと4大を出てる。就職していた経験もある。」
「・・・。」
「これね、ぜんぶぜーんぶ、びびちゃんの“資源”なんだよ。誰にも奪われない、びびちゃん自身の資源。 これらを何一つ持ってなくて離婚しなきゃならない人もたくさんいるの。わかる?びびちゃんはすごく恵まれてるんだよ。」
彼女がぴしゃりと言ってくれた言葉に、ガーンときました。そうか、私には資源があるのか。
家もない、お金もない、スキルもない、経験もない。ないものばかりを数えて悲観していましたが、私の手の中にはいろんなものがあるじゃないかと。
私はこれでやって行くんだ、やって行かなきゃいけないんだ。彼女のおかげでそんな覚悟が決まったような気がします。
この記事へのコメントはありません。