病気

病気のはじまり④

自分の身体が思うように動かない。
あの言いようのない恐怖は今思い返してもぞっとします。

何かおかしい。
何かおかしい。
何かおかしい。

この言葉だけが頭の中をぐるぐるとまわり、
恐怖と不安が押し寄せてきます。

特に気にせず朝ごはんを食べる息子(当時3才)の横で
床に横たわりながら、ただただ呆然と
「ママ足が動かないよ…なんでかな…」
そう独り言のように呟くのが精一杯でした。

と、ちょうどそこへ夫が帰ってきました。
(当時、夫は徒歩圏内の職場に早朝に出社し、
息子を送るために一度家に戻る、という生活でした。)

「足がうまく動かない」

そう伝えると、夫はすぐに義母に連絡しました。
おおごとにしたくなかった私は、

「一人で行けるから大丈夫」

と言いましたが、
赤ちゃんはどうするのかと言われ言葉に詰まります。

「ろくに歩けないくせにどうやって抱っこするんだ」

そう言われると何も言い返せません。

夫が息子を送るために家を出てしばらくすると、
義母がたまたま休暇中で家にいた義妹を連れて駆けつけてくれました。

まだ独身で赤ちゃんにミルクもあげたことのない義妹に
生後2週間の娘を託すことに不安を感じましたが
(かわいそうに、おそらく義妹本人の方がよっぽど不安だったと思います)、
義母に肩を担がれて足を踏み出した瞬間、二人で大きくよろけ、
これほどまでに自分が歩けなくなっていることに驚き、
不安だなんて言っている場合ではないことに気づきました。

後から聞いたところによると、義母はこの時
「これはまずい」と覚悟を決めたといいます。

こうして病院に着いた私はすぐにMRI検査を受け、
そのまま入院することが決まったのです。

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