私の会社では、社員みんなそれぞれ、自分専用のマグカップを使っている。
朝のミーティングではコーヒーを入れるのがお決まりだし、なんせ筋金入りの食いしん坊の集まりなので、仕事中も隙あらばおやつが出てきてコーヒータイムが始まる。ランチの時のお茶も、お水も、みんな自分のマグカップで飲んでいる。
会社に入ってしばらくの間、私は来客用のカップを使っていた。「早くうちにある適当なマグカップを持ってこなきゃな~」なんて思っていたそんな時。
突然、会社の食器棚に目つきが印象的な某キャラクターのピンクのマグカップが出現した。
そう。とある谷に住む、ちょっとカバ似の妖精たちの物語に出てくる、あのちっちゃい女の子だ。
「これ、似てたから、買っといたわよ。笑」
そう言ったのは母だった。
みんなが「似てる~」とか「こういう顔よくするよね」なんて好き勝手言っているのを聞きながら、じんわりと心が温かくなるのを感じた。
まだ離婚の話し合いも決着がついていなくて、仕事にも慣れていなくて、将来への不安に押しつぶされそうになっている中で、
「ここに居ていいんだよ」
そんな風に言ってもらえた気がした。
母は何の気なしに買ってくれたのだと思うけど、私の中では、自分の居場所を見つけたような、認めてもらえたような、そんな嬉しい出来事の象徴なのだ。
そんなこと言いながら、実は早々に手を滑らせて割ってしまったのだけど…笑
私にとっては大切な“幸せの記憶”のマグカップ、ネットで同じデザインを探し出して購入し、今は2代目を大事に使っている。
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