離婚を決意してからはまさに怒涛の日々でした。弁護士さんに相談に行き、夫や義理の両親と話し合いを重ね…とにかく夫と離れることを最優先し、引越しの段取りを決めました。
そしてその一方で、母が自分の勤める会社に、私を雇ってくれるよう話を付けてくれたのです。
これがどれだけ幸運でありがたいことか…まさに“命をつないでもらった”、そう思います。
しかしそれと同時に降りかかってきたのが「子供たちの預け先」問題です。もちろんそれまでも漠然と「どうにかしなきゃ」とは思ってはいましたが、他のことで手も頭もいっぱいで、保育園のことまで頭がまわっていませんでした。
ハッとした時には引っ越し先の市区町村の認可保育園は、すでに4月入園の2次募集の締め切り間際という状況でした。しかも今はまだ○○区にいるため、引っ越し先である△△区のへの申請は○○区を通さなければならず、その締め切りもバラバラという二重のややこしさ…。
大急ぎで必要書類をかき集めて区役所に申請し、なんとか締切日に滑り込みましたが、待機児童が溢れかえっているこの時代、上の息子はともかく、そもそも下の娘(0歳児)なんて絶望的です(※)。地域の認可外保育園に片っ端から電話して空き状況を確認しました。
※ひとり親家庭は優遇される(ポイントが加点される)市区町村がほとんどですが、この時点で私は離婚が成立しておらず、ただのイチ専業主婦でした。調停離婚の場合、裁判所から証明書を発行してもらうことでひとり親として審査してもらうことが可能ですが、私のような協議離婚の場合はそうはいかず、むしろ保育園探しでは苦戦することが多いようです。これぞ協議離婚の落とし穴…
とある小規模の保育室に電話した時のことです。それまでに散々断られ続けていた私はすでに諦めモード。だめもとで空きがあれば入園したい旨を伝えました。返答は、やはり現時点では空きはないと。「そうですよね…」落胆する私の声に、園長が話しかけてくれました。「何かご事情があるのかしら?」
温かい人間味溢れる声になんだかホッとした私は、離婚を前提に別居する予定であること、現在はまだ引っ越す前で住民票は別の地区にあること等を話しました。
「そうですか。それは色々と大変でしたね~。シングルさんは優遇してあげなきゃいけないんだけど、現時点では全く空きがないの。でも2次募集の結果が出たら、うちからも認可に移る人が出てくると思うから、その時は必ずご連絡しますからね。もう少し、待ってみてちょうだいね。」
離婚協議中であることを証明することができないにも関わらず、私の言葉をそのまま信じてくれたことに涙が出そうになりました。離婚に伴う様々な手続きで心が殺伐としていた中で、生身の人間らしい温かさに触れ、心がほどけるような感覚でした。(「シングルさん」という独特の、なんだかかわいらしい言い方には後から笑えてきましたが。笑)
その後、実際に認可に移る方が出て、無事その空いた席に入園させて頂くことになりました。推測ですが、おそらくウェイティングリストの中で優先して連絡をくれたのではないかと思います。
認可外とはいえそのような優遇措置は園長先生として正しい判断だったのかは私には分かりません。でも私は間違いなくこの園長先生によって救われました。私が仕事できる環境を作ってくれたこと、そして何より、私を信じてくれたこと。物理的にも、精神的にも、救われたのです。
その後離婚が成立し、認可保育園に転園が決まったため、この保育室にお世話になったのは1年間だけでしたが、今でも私はこの園長先生を恩人の一人だと思っています。
捨てる神あれば拾う神あり-夫に捨てられたつもりは断じてないけれど、世の中捨てたもんじゃないなと思わせてくれる出会いでした。
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