夫の海外転勤についていくために、私は結婚してすぐに仕事を辞め、専業主婦になりました。2年弱の海外生活を経て、帰国が決まった時には長男を妊娠していましたし、その後も国内で転勤が続いたため、仕事を再開することもなく、「夫に養ってもらっている」という状況が続いたんです。
当時夫は大手商社に勤めていて、経済的にはかなり恵まれていた方だと思います。そして私は(自分で言うのも何ですが)わりと堅実な妻だったと思います。夫が美食家だったので外食こそよくしましたが、高価なブランド品やジュエリーにはあまり興味がなく、持っている服はほとんどユニクロ(笑)、必要な日用品はなるべく安く買う、いわゆる普通の金銭感覚だったと思います。
そんな私の「夫のお金」に対する金銭感覚が、離婚を決めてから、少しだけ変化があったのです。その微妙な変化は3段階ありました。
【第1段階】夫のお金は夫のお金~もう私は他人です期
今までも「夫が稼いだお金を使わせてもらっている」と、そこまで卑屈になっていたわけではありませんが、やはり遠慮はありました。でも必要なものは買うし、私の欲しいものだって贅沢すぎるものじゃなければ遠慮なく買うつもりでいました。
が、離婚を決めた瞬間「これは夫のお金であって、私のものではない」と、急に遠慮するような、肩身の狭い気持ちになったのです。 そこから自分の洋服や美容院などのお金は一切使えなくなりました。別に夫に何かを言われたわけではないのに。
【第2段階】これから私はどうなるの~日用品買いだめ期
第1段階が数週間続いた後、急に焦るような不安な気持ちが襲ってきました。仕事は決まっていたとはいえ、今よりも経済的に余裕がなくなるのは目に見えています。
かと言って自分のものを買うような気持ちにはなれません。その結果、何をしたかと言うと、今の(夫との)生活にも必要な日用品を、別居後の分までたくさん買い込んだんです。笑
洗濯用洗剤、柔軟剤、保存食品…まるで震災に備えるかのように買い込みました。「今必要なもの」なら買うことへの罪悪感が少なかったのだと思います。
とはいえ、極端に大きなお金を使うことはやはりできず、結局買いだめとは言っても、そのほとんどは別居前の2ヶ月間で使い切ってしまいました。笑
【第3段階】いやいや、やっぱり買わせて頂きます~今のうちに使っとこ期
徒労に終わった買いだめ期を経て、いよいよ別居が開始されました。この頃には少しずつ離婚のための話し合いが進んでおり、財産分与や養育費のことも話題に出ていました。
細かい詰めはまだでしたが、とにかく養育費などの支払いは離婚が成立してから。それまでは今まで通りキャッシュカード(夫名義の口座の家族カード)もクレジットカード(夫名義の口座から引き落とされる)も自由に使ってよい。ということをはっきりしてもらいました。
その時にさらっと「美容院のお金とか、そういうのももちろん使ってくれてかまわないよ」と夫が言ったんです。さりげなく言われたそのひと言を私は聞き逃しませんでした。「お、まじで?」と…(笑)。そのひと言で肩の力が一気に抜けたような気がします。
そして、そこから第3段階に突入しました。笑
テレビやソファ等の家財道具は全部夫が持っていったわけだし(私は母の家に転がりこんだので必要ないので当たり前です笑)、夫はこれから華の独身生活でいいとこ取りするわけだし(子供との面会に制限をつけないことは最初に決めていました)、それぐらい好きにさせてもらってもいいでしょ!!という厚かましいモードになったんです。
とはいえ高い洋服やブランドバッグを買うような度胸はなく…たとえば息子のこどもチャレンジを月ごとではなく年間契約にするとか、Amazon Primeを年間契約にするとか、その程度のかわいいもんです。あと3,000円ぐらいのパンプスもいくつか買ったかな。今思えばジミーチュウぐらい買っておけばよかった!笑
と、つらつらと夫のお金に対する微妙な感覚の変化をここまで書き連ねてきましたが…
【最終段階】 今の私〜自分で決めるって素晴らしい
第2段階の日用品買いだめ期の頃は、「私はもうネイルサロンに行くこともないんだ…美容院は1000円カットならたまには行けるかな…」と、けっこう本気で絶望していました。
が、幸いなことに、生活が回りはじめたら何とかなるもんです。もちろん贅沢はできないけれど、ちゃんと美容院にも行っています(前よりも少し安いところに変えました)。ネイルも、フットはやらなくなったけど、定期的にお手入れできています。もちろん、家賃や食費の部分で母に大いに助けてもらっているし、夫の養育費があってこその生活ではありますが…。
でも、自分のものを自分のお金で買う、つまり「自分で決める」ということは、何ともすがすがしい気持ちです。そもそも「養ってもらう」とか「夫のお金で買わせてもらう」とか、そういう精神状態ってとても不健全だったなと今では思います。
主婦だって立派に家庭を支えているわけだし、家族なんだから当たり前のように「みんなのお金」と思えるのが理想だとは思いますが、でもそれってすごく難しい。
みんな少なからず「夫が稼げてるのは妻の支えがあってこそ」とか、「主婦の仕事を時給換算したら夫より稼いでる」とか、相手にも自分にも言い聞かせるようにしているところがあるように思うのです。
ちなみに…夫婦共働きのバリキャリの友人(女性)は、「自分より稼いでないくせに子育ての負担が私の方が大きいのが許せない、もっとやれ」と憤っていました。笑
収入も、家事育児の負担も、夫婦のバランスって本当に難しい。
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